2004/9/21

温度差を感じるような……

コスモバルクがセントライト記念を「ものすごいレコードタイム (by青島実況)」で勝利。何としても3着が欲しいというのもあり、試走という雰囲気ではなかった。しかし、五十嵐騎手がコメントしていた通り、こういう競馬が向くという試走ができ、権利も獲得し、バルクの走りも把握し、菊花賞へ向け視界良好といったところと思われる。

今日の走りを見れば、菊花賞へ期待が膨らむものなのだが、不安要素は「馬任せ」というところにある。つまり、柔軟性にかけ、展開次第になりそうなところだ。コスモバルクのベストパフォーマンスを発揮するには、無理に抑えつけないほうがいいのかもしれない。

「テンのペースが速かったし、引っ張ったままでは息が入らないと思った。独断でハナに立ったら折り合ったし息も入った。一番いいパターン、一番合っているのかな。またこの馬の強さを見せつけられました」と紅潮した顔に笑みを浮かべた。

と、鞍上も「馬を信じて任せる」というのがコメントに表れていたのではないかと思う。馬を信じるのは結構なのだが、考えてレースに向かってもらいたい部分もあり、菊花賞には少し不安を感じる。そうかと思えば、岡田総帥は、

「いかに早いうちに落ち着いて走れるか。目標にされるようなレースをしなければ距離の融通性はある。菊花賞は前半バラけるのでうまく馬の後ろに入れられるでしょう。とにかく内枠を引きたいね」

と、何だか早くも作戦を考え、微妙に温度差を感じるコメントを。ただ、日本ダービーのときは、五十嵐騎手にブレーキをかけてしまったとすれば、今回はアクセルを緩めてくれればなと思います。

五十嵐騎手自体は、日本ダービーのとき以上に良いか悪いかは別として、自信を持って臨めるのは間違いなさそうで、競馬ファンでない人のハルウララ一色の競馬の話題を、地方馬コスモバルクに向けてくれるようがんばって欲しいと思うところです。…うーん、まとまりきれてないなぁ。

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2004/8/24

ネオユニヴァース

ネオユニヴァースが引退-昨年の2冠馬 (SANSPO.COM)

皐月賞でみせた瞬発力というか勝負強さというのか、4歳世代ではもっとも評価していたネオユニヴァースが引退。故障が重なり、仕方なくということで非常に残念。

ネオユニヴァースにとっては、三冠になれなかったのも痛かったが、最も痛かったのは、3歳時の宝塚記念だろう。ネオユニヴァースの宝塚記念は三冠を狙うには余計なレースと捉えれることもできる。結果論だが、菊花賞、天皇賞(春)を振り返れば、距離適性から見ても、ダービー以降では最もチャンスがあるGIだった。

去年の宝塚記念 (keiba@nifty)。結果論的な距離適性からみてもチャンスはあったし、ネオユニヴァース自身が2番人気に推されていることからも充分チャンスはあったと考えられる。負けた後で、「やはり連戦の疲れが」などというのは抜きにして。現に、休み明けとはいえ、1番人気のシンボリクリスエスは勝っている。ただ、その時点でも、今の時点で考えても、豪華メンバーが揃ってしまったというのが、運の尽き。

更なる運の尽きが4歳世代、4歳4強と括られたことにあるのだろうけれど、これは止むを得ないことで、それよりも今年の宝塚記念に出れずに種牡馬としての評価が決まってしまったことだろうと思う。この馬にとって、上の世代と真っ向に対決できるチャンスが宝塚記念だったと思う。

去年の宝塚記念、ジャパンカップはどちらかというと、調子など自分との戦い。天皇賞は距離との戦い。そして、調子。そうした中で、距離ともに自らのパフォーマンスを発揮できたであろう今年の宝塚記念は、ネオユニヴァースの評価につながる戦いになったはずだろう。日本ダービー以降にこの馬らしさを見せることなく、引退するというのは残念な話。

単純に、成績を見る限りでは、サンデーサイレンス産駒らしい成績。らしいという言い方には語弊があるが、クラシック仕様。ライバルはサンデーサイレンス産駒で、選りすぐりのクラシック仕様といっても良い。つまりは、サンデーサイレンスに求められているものを受け継いでくれるに違いないと期待をしてしまう。二冠を獲った時よりも評価が落ちて、その道は険しいのかもしれないが。

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2004/8/14

人間も滞在競馬がベター?

後藤浩輝騎手、3年ぶりに新潟フル参戦 (SANSPO.COM)

やや記事が古いが、今年の後藤浩輝は他競馬場の重賞にも目もくれず、新潟フル参戦。きっかけは最終レース後の移動が面倒だからという理由なのかもしれないが…。

今日はマイネルレコルトのダリア賞制覇など今日は1日3勝など、その成果が少しずつ出てきている。一流騎手ともなれば、お手馬で、あるいは、乗り代わりで他競馬場の重賞の騎乗依頼を受けるのが日常といえる。ただ、このようなフル参戦のメリットは目先の重賞勝利以上に大きいのではと思う。

第一に、競馬場の特性を掴める。開催初日からいるわけだから、どのコースが荒れているか、あるいは、前が止まらない馬場なのかなどだ。重賞とあらば駆けつける騎手よりは活躍できるだろう。ここは、普段の開催とは大して変わらない面かもしれない。

第二に、他の騎手からのおこぼれが頂ける。基本的に、このシーズンの競馬では、馬は同じ競馬場での出走が多くなる。必然的に、他の騎手の他の競馬場への重賞参戦などにより、乗り代わりに起用されることが多くなり、レース数が増える。レース数が増えれば、勝利のチャンスは増える。

一方で、レース数が増えることで集中力が落ちているのか、人気馬もけっこう飛ばしている。ただ、有力騎手が少ないこともあり、リベンジのチャンスもいつもより多くもらえたり、他の騎手のおこぼれで穴埋めと、新潟フル参戦にはこういったメリットもある。

そして、こういう流れは秋にもつながるだろうと考えられる。レース数こそ減るだろうが、秋には夏の精鋭揃いで、大きな収穫も期待できるんじゃないだろうか。騎手にとってこの季節は、目先の重賞より秋をみた種まきに専念する滞在競馬のほうがベターかなぁと。

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2004/8/11

左回りと坂路

そろそろオリンピック。話は唐突だが、陸上競技のトラックは左回り。いろいろ諸説あって、「心臓が左にあり重いからだ」、「利き足にとってそのほうが走りやすいから」だとか。要するに、こちらのほうが走りやすいらしく、タイムも少し早くなるらしい。

馬も心臓が左寄りにあり、同じように考えられないだろうか?人間の結果を見ると、もともと左回りは走りやすいから練習の必要はいらないのかもしれない。右回りはどうかといえば、トレセン内のコースは日曜日のみが左回りで普段は右回りで練習も積まれ、問題ないといえる。…というのは過去の話で、坂路調教もある今は少し違うように感じる。

たとえば、調教が坂路中心のところでもコーナリングなどの練習のためにコースを使うこともあるという。これは練習しないと、やはりこなせないということだろう。しかし、左回りの練習が出来るのは、日曜日だけ。これは坂路中心の調教を組んでいるところには非常に大きなメリットがあるだろう。右回りでこそ普段のコース調教の差が結果に出るが、左回りではほぼ対等の条件に持ってこれると考えられる。

そう考えると、左回りと坂路には相関関係はあるはずと、ふと思っていろいろ書いたわけなんだけど、調べるのが……。基本的に馬は両利きだから、そこまで気にする必要はないかとは思うが、ゆっくり調べようかと。とりあえず、新潟は右回りがダメな坂路大将を狙って実験してみようか。

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2004/8/ 2

完全復活というよりは… 関屋記念回顧

関屋記念、ブルーイレヴン快勝 (netkeiba.com)
秋へ飛躍!イレヴン完全復活/関屋記念 (nikkansports.com)

ブルーイレヴンにとって、大きな勝利になった関屋記念。完全復活という文字が躍っているわけなんだけど、実際には気性的成長によって全く別の馬になったという感のが強い。

たしかに、ブルーイレヴンは重賞馬だから、復活という表現が正しいのだろうけれど、気性の面ではまるで違う馬だった。ゲートに入る時も少し嫌がって、職員にあおられていたけど、出遅れもしなかった。それどころか、前で折り合いがピタッと。3歳時を棒に振った骨折も掛っての暴走が引き金。それを考えると、左回りが合うなどを抜きにして、前で競馬も出来るという気性的成長は今後に向けて収穫が大きい。

ただ、暴走したり、ヨレたりしながらも勝つのを期待してしまう俺にとっては、気性がしっかりするのは寂しいかなぁ。ただ、これで古馬陣営にも、かつての期待馬であった真打登場といった形で、天皇賞の世代対決、先を行くライバルとの戦いは楽しみになってきた。でも、この気性なら、右回りも十分にこなせそうな気もするが、どうだろう?

他には、3着のマイネルソロモンも脚をためてよく伸びていた。結果として3着に終わったが、後ろからの競馬もこなせ、秋は期待できる。ロードフラッグはコックスプレートに本当に行くかが、気がかり。

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2004/7/28

ポストサンデーの影響

藤沢和雄の「伯楽一顧」:(7/28)ポストサンデー (サラブnet)

藤沢和雄調教師の今回のコラム。サンデー産駒は種牡馬選びが難しいのに、ダンスインザダーク産駒に高評価はいかがなものかという点はそれほど目新しい内容ではない。しかし、ここで注目したいのは、

 産駒を自分で扱って感じたことは、とにかく競走馬に仕上がる確率が高い。2歳のデビュー前には、育成場で調教されるのだが、育成場の方から「早く(美浦に)入きゅうさせてくれ」と言われることが多かった。調教の間に自分で身体をつくってしまうのである。

この点だ。ポストサンデーといえば、今は亡きサンデーサイレンスの後継者の問題であったり、非サンデー系の種牡馬であったりする。調教師の視点から見れば、他の調教師もサンデー産駒がいなくなるから、大して影響はない…といえそうのだが、重要なのが「自分で身体をつくってしまう」点じゃないだろうか?

これも結構言われる点ではあるのかもしれないが、ポストサンデーと絡めてみれば、現在サンデーサイレンス産駒依存の調教師はポストサンデーの時代にその腕が試されるのではないか?「自分で身体をつくってしまう」点は、どんな調教でも仕上がるということを表すんじゃないだろうか?それこそ、ハードな調教を無理して行わなくてもいいわけだし。このポストサンデーの問題は調教師の中にはビクビクしている人もいるんだろうなぁと思う。

そういう点も含めれば、「自分で身体をつくってくれる」サンデーの血をもつサンデーサイレンス後継種牡馬産駒のほうが、サンデーサイレンスの特徴を受け継いでくれる可能性が高いから、非サンデーサイレンス産駒よりも高値で取引されるとも考えられるのではないか。ポストサンデー争いを調教師の視点でみるのも、面白いんじゃないだろうか?

2004/7/27

ノリの好騎乗

函館記念は横山典弘鞍上のクラフトワークが勝利。ファインモーションばかりに目が行くかもしれないが、ここで注目したいのは、クラフトワークの勝ち方。「調教師のインを突くという指示」がある条件で、この騎乗はなかなかできるものではなく、ノリの好騎乗であったと思う。

今年の安田記念はかつてのお手馬であったツルマルボーイ。世間でいわれるアンカツマジックが炸裂し、橋口師もインを突く競馬は他の騎手では出来ないといった。ノリからしてみれば、気分のいいものではない。

ただ、実際にはツルマルボーイの安田記念での騎乗はノリも乗っていればやったのでないかと思う。たしかに、ノリのGIでの成績は2着が多いが、騎乗する馬の人気を考えれば、その成績は優秀であり、勝負弱いの一言で片付けられるものではないはずである。いやむしろ、勝負に強いのかもしれない。我慢して我慢して、そして直線で爆発させるという騎乗。他の馬が徐々に仕掛ける中で、この騎乗は勇気がいるだろう。

この函館記念の騎乗は、我慢の競馬をし、不利といわれるインを突くという騎乗。アンカツの安田記念の騎乗が理に適った騎乗であるとしたら、ノリの今回の騎乗は調教師の指示があったとしても、決して理に適った騎乗ではない。しかし、ここぞのタイミングで仕掛ける騎乗、もっと褒められていいのではないかと思う。

今回の函館記念はタイミングもバッチリ。勇気をもって最後まで我慢をする競馬に今回のようにノリのタイミングが合えば、今秋のGIの台風の目になるんじゃないだろうか。また、一見、不利と思われる、あるいは、調教師の指示を守りながらも勝つことが出来るというのは、好騎手の証明といえるだろう。

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2004/7/23

ハンデキャッパーにプレッシャーをかけるのも無理はない?

ハンデ不満もファイン出走~函館記念 (スポニチアネックス)

遅きに失する感もあるが、知ったことではないので(笑)、ファインモーションのハンデの問題。伊藤雄調教師の「57キロでは出走しない」という幾度ものプレッシャーに負けず、ハンデキャッパーはファインモーションに57キロという回答。

「よくやった、感動した」

と、ハンデキャッパーにいってやりたい人も多いことだろうと思う。しかし、この問題は実は使えるレースを増やせというメッセージにも取れる。JRAの番組編成ではおそらく、夏にGIホースが出ることを想定していないので改正をというメッセージに。

よく、馬産地にGIがないのは日本だけだみたいなことを見かけるのだが、現実問題としてはGIホースが夏競馬に出走しづらいことの方が重要。函館記念について言えば、同じくハンデ戦の七夕賞もあるので、グレード別定のレースにしてもいいかなと思う。札幌記念をグレード別定にしても面白いとは思うが。

と、ここまで書いて思ったのはグレード別定にしたら、ファインモーションは57キロで意味がないという。でも、夏競馬にグレード別定。盛り上がると思うんだが、どうだろう?

2004/7/20

祝日効果もあったハズ

1日目の成績としては、売上総額は6億5709万円(昨年は3億3760万円)で、平均価格は1341万円(昨年は1164万円)、売却率は40.16%(昨年34.9%)で、昨年を大きく上回る結果になっている。

昨年を大きく上回る結果になった日高のセレクションセール。サンデーサイレンス亡き後で社台の影響が少なくとも以前よりは減ったこと、セレクションセールの浸透などが考えられるが、一番大きかったのが海の日に開催したことではないかと思う。

近年においては、馬主の力というものが強くなっていると考えられる。、たとえば、フサイチ、アドマイヤの馬主は有名である。調教師などに全てを任せることなく、自分の判断を加えて買うというスタイルである。もちろん、助言などはあるだろうが。そして、平日でもお構いなしの金持ちのポジションにいることも重要である。

ただ、一般的に馬主のなかには、休みがそうそうに取れるという人は少ないと考えられる。そうした中で、海の日に行ったというのは、非常に効果が大きかったのではないかと推測される。例年ならば、調教師にこれくらいの金額でなど前もっての打ち合わせによって決めていたものを、実際の現場に行って決めるのでは金額に差が出るものと考えられるだろう。

このように結果が出るのであれば、土日に競馬場でセールを行っても面白いんじゃないかと思う。祝日だけの効果と限定するのは気が早いかもしれない。実際、どれだけの馬主が参加していたかは気になるところではある。

2004/7/16

クラシックホースが狙う天皇賞

皐月賞馬ダイワメジャーは菊向かわず天皇賞・秋へ (SANSPO.COM)

キングカメハメハに続いてという形ではないのだろうが、ダイワメジャーも菊花賞に向かわずに天皇賞 (秋)へ向かう。ハイアーゲームもその可能性を示唆している。「一体、クラシックを何だと思っているんだ?」などとは全く思わない。

キングカメハメハ、ハイアーゲームは左回りがいいということもあるだろうし、ダイワメジャーは距離的な優位性もあるだろう。ならば、チャンスがあるほうへというのは当然の動き。そして、何より今年の天皇賞は3歳馬にとってはチャンスが十分にあると考えてのローテーションである。

4歳4強はいまいちパッとしない。現役最強古馬と思われるタップダンスシチーは凱旋門賞へ。休養中の4歳馬サクラプレジデントは間に合っても厳しい状況。3歳馬陣営にとってみれば、これはまたとないチャンスといえる。そして、これは翻ってみれば、現4歳馬世代にとってはぜひ取っておかなければならない一戦となり、おもしろい天皇賞が期待できそうだ。

ただ、今年の3歳はレベルが高いのかというそもそもの疑問があったりして、ウインデュエルあたりがこっそり天皇賞に登録して勝っちゃいそうな……。最後のクラシックはコスモバルクの手に渡るかなぁと思うけど、ダイワメジャーが出走しないと逆に目標にされて、こちらも厳しいかなという気もする。